藤岡幸夫/「音楽はお好きですか?」

藤岡幸夫著「音楽はお好きですか?」(敬文舎/2020.12)を読んだ。
http://k-bun.co.jp/con_books_15.html
https://www.fujioka-sachio.com/profile.htm
自身がどうやって指揮者になったのか、幼少からのエピソードを紹介しつつ、師匠(渡邊暁雄、小林研一郎)の思い出、名曲に隠された作曲家たちの思い、修行時代の失敗の話などなどが語られる。

タイトルの「音楽はお好きですか?」は、BSテレ東/土曜8:30「エンター・ザ・ミュージック」のサブタイトルであり、朝日新聞関西版夕刊に掲載しているエッセイのタイトルであるとのこと。

私も「エンター・ザ・ミュージック」を観るようになってから藤岡を知ったのだが、本書の内容はなかなか興味深いものだった。
以下、渡邊暁雄に師事した時のシベリウスの演奏法を抜き書きしておく。

暁雄先生は、シベリウスのイタリア語の指示記号には通常と違うものがあるから要注意、と教えてくださいました。
「モデラート」は、通常は「中くらいの速さで」とか「適度な速さで」という意味で、音楽の流れが停滞しないイメージがありますが、シベリウスの場合は「落ち着いて」という意味で、通常の意味とは逆に近い。

シベリウスが交響曲などでしょっちゅう使う「モルト モデラート」という指示は、「すごく落ち着いたテンポで」という意味ですが、それを知らないで通常の意味で解釈すると、すごく速いテンポになってしまいやすいのです。

(中略)シベリウスを愛していた英国を代表する作曲家ヴォーン・ウィリアムズ(1782~1958/自身の交響曲第5番をシベリウスに献呈している)も、モデラートをシベリウスとまったく同じ意味で使っています。

また、「アンダンテ」も、シベリウスの場合は、通常の意味よりさらに遅く、どっしりとしたイメージになります。



※藤岡幸夫の経歴は下記の通り。
1962年 東京生まれ
1985年 慶應義塾大学文学部美学美術史学科卒業
1987年 日本フィルハーモニー交響楽団指揮研究員
1990年 プラハの春音楽祭/ターリッヒ国際指揮者コンクールでファイナリスト
1990年 英国王立ノーザン音楽大学(RNCM)指揮科入学
1993年 「サー・チャールズ・グローヴス記念奨学賞」を特例で受賞
1993年 BBCフィルの定期演奏会に出演
1994年 BBCフィル副指揮者に就任
1994年「プロムス」でBBCフィルを指揮しデビュー
1995年 日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で日本デビュー
2000年 関西フィルハーモニー管弦楽団正指揮者
2007年 関西フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者
2014年「エンター・ザ・ミュージック」スタート
2019年 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団首席客演指揮者

(参考)1960年前後生まれの指揮者は下記の通り。
1958 広上淳一
1958 大友直人
1960 大野和士
1960 上岡敏之
1961 佐渡 裕
1961 山下一史
1962 藤岡幸夫
1963 飯森範親
1964 沼尻竜典

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック