最近読んだ本 2022/07

●「まだまだ 身の下相談にお答えします」上野千鶴子著(朝日文庫/2022.5)
朝日新聞土曜別刷「be」に連載された「悩みのるつぼ」を再構成したもの。
大半は読んでいるハズなのだが、あらためて読むとさすがジェンダー研究の第一人者である上野先生ならではの明快な回答に納得させられる。
読んだことのない人は必読の書。

●「私を美術館に連れてって」山下裕二、壇蜜著(小学館/2022.5)
「週刊ポスト」に連載された常設展を巡る「美術館へ行こう!」の単行本化。
「いつでも鑑賞できるミュージアム」の副題通り、東京近郊の美術館/博物館の常設展示が紹介されている。山下先生が見どころなどわかりやすい解説をしてくれる。壇蜜のコメントも気が利いていてさすがと思わせる。

●「なぜ、歯ぐきが健康な人ほどいつまでも長生きできるのか」船越栄次著(クロスメディア・パブリッシング/2022.5)
歯は歯を支える歯ぐきが大事であり、歯周病は「健康な状態」を脅かす。歯周病の予防、治療は健康寿命を延ばすことに直結するという。
そのための毎日のセルフケアも詳細に説明されている。

●「美しい日本語」金田一春彦著(埼玉福祉会/2022.5)
出版されたのは最近だが、底本は角川ソフィア文庫「美しい日本語」(2016.12)とのこと。本書はその大活字本シリーズの一冊(図書館の予約システムで見た時はそこまでわからなかった)。
言語学の第一人者によ実践的日本語講義。他者との関係性や自然を大切にしてきた日本人ならではの、その豊かな文化を映しこんだ美しい言語である日本語の美しい表現とその伝え方を多くの事例とともに解説している。

●「古楽の終焉 HIP〈歴史的知識にもとづく演奏〉とはなにか」ブルース・ヘインズ著、大竹尚之訳(アルテスパブリッシング/2022.4)
2007年に発刊された、"The End of Early Music: A Period Performer's History of Music for the Twenty-First Century"の邦訳。
著者はブリュッヘン率いる18世紀オーケストラなどでオーボエ奏者、リコーダー奏者として活躍したほか、楽器製作や音楽学研究の分野でも多大な実績を残した人。
400ページを超える大作でひじょうに読み応えがある。訳も優れており読みやすい。
内容的には、「原典至上主義」に疑問を呈しつつ「修辞学的音楽(rhetorical music)」について解説し、楽譜に書かれた音楽をただ再現するだけでなく、生命力にあふれたパフォーマンスが必要であると説いている。

●「失われたTOKIOを求めて」高橋源一郎著(インターナショナル新書/2022.4)
渋谷、新宿、上野、御茶ノ水、明治神宮など、自分にとって特別な場所を歩きながらその土地にまつわる歴史あるいは個人的な感懐が綴られている「極私的」東京探訪記。著者の世代の方々にとっては共感が得られるかも知れない。

●「オーケストラの音楽史〜大作曲家が追い求めた理想の音楽〜」パウル・ベッカー著、松村哲哉訳(白水社/2022.4)
本書は以下の全訳で、ベッカー自身が英語で書き下ろした書の初の日本語訳とのこと(ドイツ語訳は出版されている)。
Paul Bekker, The Orchestra,Norton Library,1963
本書はオーケストラという組織の発展史ではなく、作曲家が自分の音楽を生み出すために、オーケストラという楽器に何を求め、どのように利用してきたか、そしてその過程でオーケストラはどのように変化して来たか、について書かれている。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ウェーバー/シューベルト/メンデルスゾーン/シューマン、ベルリオーズ/マイヤーベーア/リスト、ワーグナー、ブラームス/ブルックナー/マーラー、(以下略)と年代順に書かれており、ひじょうにわかりやすく、読みやすい。

●「ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ~扉子と虚ろな夢~」三上延著(メディアワークス文庫/2022.3)
本シリーズも本書で10作目となる。栞子から娘の扉子が中心となり、例によって書にまつわる謎解きが展開される。相変わらず読ませる内容で、一気に読んでしまった。

●「100年歯がなくならない生き方」小峰一雄著(知的生きかた文庫 三笠書房/2022.3)
「常識をくつがえす!むし歯・歯周病の真実がわかる本」というサブタイトル通り、これまで読んできた本や常識とは異なる内容となっている。いきなり「むし歯・歯周病は自然治癒力で9割治る」と書かれている。そして現代人は、自然治癒力が衰えており、それを取り戻す8つの習慣が紹介される。「砂糖カット」「1日1食」「プチ断食」などはわからないでもないが、「歯磨きなんてしなくていい」というのはちょっと言い過ぎのようにも思うが・・。

●「うまれることば、しぬことば」酒井順子著(集英社/2022.2)
うまれることば、しぬことば.jpg
集英社ノンフィクション編集部公式ウェブサイト「よみタイ」
https://yomitai.jp/
に公開された「言葉のあとさき」を改題、加筆修正したもの。
特に「『気づき』をもらいました」の章は大いに共感するとともに、ひじょうに説得力のある解説だと思った。
現代日本語におけるその細かいニュアンスをここまで詳しく解説している書は他にはないと思われる。その意味では貴重な文献と思う。

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